気分の浮き沈み、不眠、自分のことが好きになれない、孤独感などに苦しんでいた女性③父親への怒り・性への嫌悪感編
ディマティーニ・メソッド・ファシリテーターで心理学博士の古宮昇です。
パニック、不眠、極端な感情のアップダウン、激しい孤独感、男性への激しい不信感と性への嫌悪感などに苦しんでいた30代の女性がいます。
彼女はディマティーニ・メソッド®を通して、母親への怒り、父親への怒り、レイプされた経験の傷つきに取り組み、それらの症状が短期間のうちに、ずいぶん軽快もしくは消失しました。
ぐっすり眠れるようになるとともに、躁うつ状態がなくなり、恋人からしばらくイーメールが来ないからといって以前のような強い恐怖に襲われることもなくなりました。
その学びとは、人生に起きる出来事はすべて、私たちが最高に成長し、最高の自分になって生きてゆくために必要だから起きるということです。
では、その女性の手記第3回目をどうぞ。
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気分の浮き沈み、不眠、「自分のことが好きになれない」、孤独感などに苦しんでいた女性①
目次
無関心だった母親に感謝できた初回セッション後、無気力に
私は初回セッションでは母親を対象に取り組みました。
母親が無関心だったからこそ、私は研究者として多くの業績を上げることができていたことに気がつき、無関心な母親に対して感謝の気持ちになりました。
ところが、それまでは母親から関心をもらえない寂しさや苦しさを糧に研究活動に励んでいたのに、その苦しみが減ったため、研究をおこなう気力が失せてしまいました。
浮気や不倫を繰り返した父親への怒りと性への嫌悪感に取り組む
2回目のディマティーニ・メソッド®のセッションでは、主に父親との関係と性への嫌悪感について取り組みました。
私の父親は何かと女性問題を抱え、浮気や不倫を繰り返す人でした。
私には、そんな父親が汚い存在に見えていましたし、自分の信念を曲げずに家族を苦しめてきたことに、怒りと嫌悪を感じていました。
なぜなら父は、「尊敬する父の娘」としての私自身の誇りを汚したからです。
父親から得ていたこと
しかし、ディマティーニ・メソッド®を通して、父が母のことも私のことも顧みなかったおかげで、私自身がより理想的な男性をイメージし、その男性に愛される自分になろうと努力していたことに気がつきました。
私は、理想の男性から愛される努力をしてきたことで、だんだん社会的地位の高い男性とお付き合いするようになり、しかも愛情深く尽くしてもらえていたのでした。
つまり、父が私の誇りを汚してくれたおかげで、私の誇りを満たしてくれる男性と付き合うことができていたのです。
何より、世の中においてタブーと言われるような現象の中には、マイナスと同じだけのプラスの要因が存在することが理解でき、男性に対する潔癖さが和らいだことで、とても生きやすくなりました。
それまで私は、男性に対して極端な距離をとっていました。
傷つかないよう過剰に防衛していたのです。
また、男性から性的関心を持たれることは耐え難い屈辱でした。
さらには、男性の都合の良い振る舞いや理不尽さを単に見聞きしただけで、激しい怒りを覚えていました。
そのような過剰な反応の根底には、父親に対する「家族や私をないがしろにしている」という激しい怒りがありました。
しかしその長年蓄積された激しい怒りは、父親の行動が私にマイナスと同じだけプラス要因をもたらしていたことに気づいたとき、驚くほど自然に溶けていきました。
自分の信念を貫き通す強さ
さらに、父親の“自分の信念を貫きとおす”という性質が、同じだけ私にも存在することも理解できました。
そのとき、それは私自身の研究に対する理念を貫きとおす強さとして表れていたことが分かりました。
それからは研究に対するがむしゃらさや気負いがなくなり、より自由に自分の理想とする研究を続けていける気持ちになり、重責から解放されました。
父親に深い感謝の気持ちが湧き上がるとともに、研究への意欲もふたたび戻ってきました。
しかし、まだその時点でディマティーニ・メソッド®を終えるつもりはありませんでした。
私は性に対する深い嫌悪感があることに気づき始めており、それを解決することに決めたのです。(つづく)
解説:感情的に極端な反応の根底には犠牲者意識がある
私たちが感情的に極端な反応をするとき、ほとんどの場合、癒やせていない心の痛みが原因になっているものです。
この女性の場合は、たとえば、「男性に対して極端な距離をとっていました」という文章に表れた、男性への強い不信感が、極端で非現実的な反応です。
さらには、「男性から性的関心を持たれることは耐え難い屈辱でした」と感じるのも、
「男性の都合の良い振る舞いや理不尽さを単に見聞きしただけで激しい怒りを覚えていました」という反応も、極端といえるでしょう。
わたしたちは、自分の中に犠牲者意識があると、人々のことを容易に「加害者」および「犠牲者」と見なし、犠牲者に同情するとともに、加害者と見なした人間に対して敵意や軽蔑心を抱きます。
その敵意や軽蔑心は、本当は、「わたしのことを虐げた」と見なしている過去の重要な人物に対する感情です。
そしてそれらの未解決の感情は、わたしたちの人生にさまざまな苦しみと重荷を生むとともに、自分らしくイキイキと幸せに生きることを阻んでいます。
この女性はつぎに、性に対する罪悪感に取り組むことに決め、さらにセッションを受けます。
その結果、誰もが「悲惨な出来事」だと見なす経験に、どれほど大きな恵みが隠れていたかに気がつきました。
そして自分自身への信頼感を取り戻すとともに、性への罪悪感が大きく減少することになります。
古宮昇(こみや・のぼる) (次回 ④レイプ体験編4/3 up)
最初からもう一度読みたい方はこちら
気分の浮き沈み、不眠、「自分のことが好きになれない」、孤独感などに苦しんでいた女性 ①DMは不要と思っていた
②母親の無視・無関心編 ⑤見捨てられ不安編 ⑥ディマティーニ・メソッド®から得た洞察編
⑦恩師の拒絶と抑うつ編 ⑧心の整理と人生の目的の発見編 ⑨不倫編