気分の浮き沈み、不眠、「自分のことが好きになれない」、孤独感などに苦しんでいた女性 ①DMは不要と思っていた
ディマティーニ・メソッド・ファシリテーターで心理学博士の古宮昇です。
パニック、不眠、極端な感情のアップダウン、激しい孤独感などに苦しんでいた30代の女性が、ディマティーニ・メソッド®を通して得た、大切な学びをシェアしてくださいました。
私たちの心についてあなたの理解を深める助けになることを願って、
これから何回かに分けてお届けします。
ご本人の許可を得ています。
目次
【傷つき苦しむのはあたりまえ。
私にはディマティーニ・メソッド®は不要と思っていた】
そもそも、私はディマティーニ・メソッド®を受けるつもりはありませんでした。
ディマティーニ・メソッド®を受ける必要を特に感じていなかったのですが、
実は、確かに私にはディマティーニ・メソッド®を受ける理由がありました。
それは数年抱えていた心の傷からくる不眠症状と、それに伴うパニック発作です。
また感情の揺さぶりも激しく、高揚とした状態と抑うつとした状態をくり返す、躁うつ病のような状態も継続していました。
私は感情面での刺激の受け方がとても大きく、過剰に反応して落ち込むことが何度もあり、仕事を休むこともよくありました。
しかしそれでも、私はディマティーニ・メソッド®を受ける必要を感じていませんでした。
というのも、「人は生きている限り傷つきを負うものであり、傷つきのない人生なんてない」という価値観が強く根付いていたからです。
「誰に迷惑をかけているわけでもないのだからディマティーニ・メソッド®を受ける必要はない、仕事に行けなくなったら考えよう」というぐらいの認識しかありませんでした。
自分自身の苦しみなら、自分が耐えられる範囲であればそれでいいと考えていたのです。
私の苦しみは私のもの、私はこの苦しみを抱えて生きていけばいいし、癒えない傷を抱えていることによってその傷を頼りに、より心の深みに降りていける、そう考えていました。
【自分が幸せにならないと恋人を大切に出来ない?】
ではどうしてディマティーニ・メソッド®を受けようと決意したのか。
それは、私が恋人を大切にできていないということに気づいたからです。
それまでの私は、他人に苦しみを与えるぐらいなら、自分が苦しみを抱えるほうがいいと思っていました。
相手が幸せなら、自分が幸せでなくても構わない、この苦しみを味わわせるくらいなら、私一人で抱えていようと、そう思っていました。
しかし事実は異なりました。
私が恋人の幸せを願えば願うほど、その人は遠ざかっていくのです。
大切にしたいはずが、それができないことに私はさらに苦しみました。
そのような苦しみの中、「まずは私が幸せにならないと他人を幸せになんてできないのではないか」と思うようになりました。
それまで私は、幸せとは何かを考えて生きて来ていませんでした。
苦しみにも意味はあると思っていましたが、私が感じていた意味とは、
苦しみをバネに這い上がる力のことだけであり、
這い上がった先の喜びや幸せというものは、全く見えていませんでした。
苦しみにしかフォーカスしない私の生き方が、抑うつ状態を生み出していたのだと思います。
解説:ほとんどの人が辛い感情をマヒさせ重荷を抱え続ける
私たちには、耐えがたいほどの苦しみについて、感じないようにしようとする心の働きがあります。
辛い感情をマヒさせ、抑えつけるのです。
それは無意識のうちに自動的に起きる働きで、自分ではそんなことをしていることにさえ気がつきません。
その働きは、あまりに耐えがたい苦しみから自分自身を守るために必要なのですが、ところが、それがあるために、実は人生に多くのマイナスももたらしています。
たとえば、感情をマヒさせるため、喜びや充実感も乏しくなります。
また、苦しみを生んでいる原因から目をそらしますので、解決できません。
そのため苦しみを生み続けます。
人間関係がうまく行かない、自分のことが好きになれない、生きることが重荷、うつ、パニック、などなど。
さらに、私たちが自分の力を発揮して、より楽しく、ラクに、充実した人生を送ることをさまたげ続けます。
それはちょうど虫歯に例えられるでしょう。
虫歯を治すことなく痛み止めで対処していると、緊急の痛みからは救われますが、原因である虫歯を放置していますので、ことあるごとに痛みがぶり返します。
しかも痛みは徐々に強くなります。
しっかり噛むことができないため、徐々に内臓が弱り、栄養の吸収も悪くなって健康に害が出ます。
さらには、虫歯のない側ばかりで噛むため顔がゆがんだり、それを放っておくと顎関節症になったりするかもしれません。
ついには虫歯があごの骨まで腐らせてしまうことでしょう。
ほとんどの人たちは、未解決の心の問題に取り組むことなく、
さまざまな重荷、制限、困難を抱えながら「人生ってこんなもんだ」というあきらめの中を、
そして
「あの人が、会社が、世の中が、悪いんだ」と他を責める犠牲者意識のまま生きて、死んでゆきます。
しかしこの手記を書いた女性は、母親、父親、中学生の時のレイプ経験について、
ディマティーニ・メソッド®で取り組みました。
その結果、以下のように変化しました。
彼女の手記に戻ります。
【長年苦しんでいた不眠症状、パニック発作、躁うつ状態が改善】
ディマティーニ・メソッド®を通して、憎しみや怒り、裏切られることの恐怖心といった感情が薄らいでゆき、孤独感や不安が軽減しました。
そして、「私はこんなに大切にされている」と自分の気持ちを信用できるようになりました。
そのおかげで安心感を得ることができました。
安心感とは、人から与えてもらうものではなく、自分自身を信じる気持ちが生み出すものでした。
そして、自分自身を信じるということが何よりも強い安定を生むことが分かりました。
すべての人間関係は、この安定感が根底になければならないと気づいたのです。
その安心感が得られたおかげで、ぐっすり眠れるようになりました。
そして長年苦しんでいた不眠症状、パニック発作、躁うつ状態が改善しました。
さらには、恋人からしばらくイーメールが来ないからといって以前のような強い恐怖に襲われることもなくなりました。
「私は私のままで愛されている」、「私が私を信じている」という信頼感が心に生まれたため、人が離れることが怖くなくなったのです。
いつも心の底に見捨てられ不安があったことが、今になると分かります。
ディマティーニ・メソッド®を通して得たこれらの気づきこそが、私を癒す最大の薬でした。
【自分自身ととことん向き合うという強い思いが変化を起こす】
私がディマティーニ・メソッド®を受けようと決めたとき、その理由として「大切な人を大切にできる自分になること」を目標に挙げました。
私は、「自分は幸せでなくてもいいから人が幸せならそれでいい」とずっと考えて生きてきました。
しかしそれでは人を大切にはできないようです。
ディマティーニ・メソッド®を通して学んだことは、「まずは自分を大切にしなくてはならない」ということです。
自分を大切にしていないと他人も大切にできません。
相手は自分を映し出す鏡だからです。
人を信用するには、その土台となる自分自身を信用する必要があったのです。
大切なのは、自分自身ととことん向き合うという思いの強さです。
今回受けたディマティーニ・メソッド®は、人生をより豊かに、より生きやすくするための有用な手段であると思います。
私のディマティーニ・メソッド®体験はこれで終わりなのではなく、長い人生の旅路をより生き易くするための序章です。私のこの経験が、何かのお役に立てるなら幸いです。
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では次回から、この女性がディマティーニ・メソッド®によって得た具体的な気づきをお伝えしてゆきます。
古宮昇(こみや・のぼる)
③父親への怒り・性への嫌悪感編 ④レイプ体験編 ⑤見捨てられ不安編 ⑥ディマティーニ・メソッド®から得た洞察編
⑦恩師の拒絶と抑うつ編 ⑧心の整理と人生の目的の発見編 ⑨不倫編