気分の浮き沈み、不眠、自分のことが好きになれない、孤独感などに苦しんでいた女性②母親の無視・無関心編
ディマティーニ・メソッド・ファシリテーターで心理学博士の古宮昇です。
パニック、不眠、極端な感情のアップダウン、激しい孤独感などに苦しんでいた30代の女性が、ディマティーニ・メソッド®を通して得た、大切な学びをシェアしてくださいました。
気分の浮き沈み、不眠、「自分のことが好きになれない」、孤独感などに苦しんでいた女性 その1 2015/3/13up
その大切な学びを一言でいうと、人生に起きる出来事はすべて、私たちが最高に成長し、最高の自分になって生きてゆくために、必要だから起きるということです。
ご本人の許可のもと、
私たちの心について理解を深める助けになることを願って、
彼女からのメッセージを数回に分けてお届けしています。
今日はその二回目です。
【母親の無視・無関心に関する苦しみに取り組む】
初回のディマティーニ・メソッド®では、母親との関係がテーマになりました。
母親の無視・無関心についてです。
母は長年にわたり私に対して無関心を貫き通すとともに、私のことを評価してくれなかったため、私は激しい怒りを感じていました。
私は、薬理学関連の研究職に就いていました。
そしてディマティーニ・メソッド®によって、私は母親から評価を得られない代わりに、研究者として2万~4万人の人々の評価や関心を得ていたことに気がつきました。
その数字は、私の論文が掲載された学術誌の読者数をざっと計算したものです。
母親が無関心であったため、私は人々の関心を求めて研究に没頭していたのです。
母が無関心でいることによって自分の研究にいかに貢献していてくれていたかが分かったとき、私はやっと母に感謝できました。
すると、無関心であること、評価されないことを、虚しく淋しく思う気持ちは薄れていきました。
母親の言動や行動にも動揺しなくなりました。
「あなたが無関心でいてくれたおかげで、私はこんなにも社会に貢献できていた!ありがとう!」という気持ちになりました。
さらに、私は恵まれない子どもたちの話し相手になったり勉強を教えたりするボランティア活動をずっと続けて来ました。
同性の親から関心を得られない子どもが、どれほどの苦しみや悲しみを受けるのかが理解できたことは、今後の私のその活動に欠かせない気付きをもたらしてくれました。
そして私にとって、子どもたちの心の支えになれることは数万人の人々からの評価に等しいほど価値のあることなのです。
【苦しみを原動力にして研究に励んでいたのに・・・】
しかしそのセッションあと、どうしようもない淋しさと虚しさが押し寄せてきました。
私はそれまで、苦しみの中でしか成果を成したことがありませんでした。
母の関心も評価も得られない欠乏感のため、研究者たちから関心と評価を得ようとして研究を続けていました。
また、抑うつ状態とは対照にある、高揚とした躁状態のときには、そのエネルギーを使って研究に取り掛かっていたのです。
ところが、母から無視されていたことの苦しみが薄れていってしまったことによって、虚無感に襲われました。
苦しみは和らいだのですが、生きる原動力を失ったかのような気持ちになったのです。
何の感情の起伏も感じられない状態は、私にとって生きる意味の喪失に等しいものでした。
ですが、私は最初の目的を果たしたわけではないことをしっかりと覚えていました。
それは「自分が大切にしたい人を大切にできる自分になること」です。
私は当初の目的を果たすべく、さらにセッションを受ける決意をしました。(つづく)
解説:マイナスの感情を動機にした言動は、さらなる孤独感や抑うつを招く
この女性のように、孤独感や抑うつなど、辛い感情を感じることを避ける目的で仕事に励む人たちがいます。
しかしそのようなマイナスの動機でおこなうことは、さらなる孤独感や抑うつなどの不幸を招く結果になります。
同じことは、誰かを見返してやろうとか、貧しい生い立ちの反動として贅沢をしようなど、マイナスの感情にもとづくエネルギーで物事をおこなうすべてのことがらに言えます。
この女性の場合は、マイナスの感情が、研究者として多くの論文を発表するという業績には結びついていました。
しかしながら、そのもとの動機のままで研究を続けていても、どこかで行き詰まっていたでしょう。
また、どれほど多くの論文を出したとしても、「この私でいいんだ」という安心感も得られなかったでしょうし、研究をしている自分を心から愛せることにも繋がらなかったでしょう。
それに、たとえ多くの論文を出しても、自分自身のことを永遠に愛せないままでは、「好きなことをして世の中に貢献している」という充実感も得られなかったでしょう。
ですからこの女性が、仕事を進める原動力の根本にあったマイナスの動機を解決したことは、彼女が研究を通して幸せになるために必要なことでした。
ところが、彼女は最初のセッションのあと、研究を続ける意欲が無くなってしまいました。
そのように、セッションを受けることで新たな苦しみが生まれることは、わたしの経験では少ないのですが、彼女の場合はそうなりました。
マイナスの動機から研究をおこなっていたため、マイナスの感情が解決したことで研究をおこなう力が無くなったのです。
そこで彼女は、未解決の感情にさらに取り組みます。
古宮昇(こみや・のぼる)
次回 ③父親への怒り・性への嫌悪感編 3/27up!
最初からもう一度読みたい方はこちら
気分の浮き沈み、不眠、「自分のことが好きになれない」、孤独感などに苦しんでいた女性 ①DMは不要と思っていた
④レイプ体験編 ⑤見捨てられ不安編 ⑥ディマティーニ・メソッド®から得た洞察編
⑦恩師の拒絶と抑うつ編 ⑧心の整理と人生の目的の発見編 ⑨不倫編