前回の記事「育児ストレス解消の極意! 入学式編」では、
「汝自身を知る=自身の価値観(大事なこと)を知る」ことが子育てのイライラを解消する第一歩!と、
価値の序列(優先順位)を明らかにする簡単なワークをご紹介しました。
今回は、価値観別の子育てのイライラ解消のヒントをお伝えします。
「子育て」に高い価値を感じていますか?
「あなたは子育てに高い価値観を感じていますか?」
子育て中の女性にこんな質問をすると、
「当たり前でしょ、失礼ね!まったく!」
というお答えが帰ってくるかも知れません。
しかし、女性が「子育て」に価値を置くのは当たり前、というわけではありません。
人間行動学の世界的な権威 ドクター・ディマティーニは、
人生を7つの領域(スピリチュアル、知性、仕事、お金、家族、社交・人間関係、美容・健康)にわけ、
どの領域に高く価値を置くかを見た場合、
女性の75%、男性の25%は、家族、社交・人間関係、美容・健康
に価値を高く感じ、
女性の25%、男性の75%は、知性、仕事、お金・経済
に価値を高く感じているといっています。
女性の75%は、家族、社交・人間関係、美容・健康に価値を高く感じていますが、
残り25%は、家族、社交・人間関係、美容・健康よりも、
知性、仕事、お金・経済に価値を感じていることになります。
このような方であれば、
『「子育て」が素晴らしいのは重々承知しているけれども、
やっぱり、キャリアを形成するとか、お金を増やすことの方が大事』
と答えても不思議ではありません。
どんなことに価値を感じるかは人それぞれ異なり、
それぞれに善し悪しがあるわけではありません。
「子育て」よりも高く価値を置くものがある場合、
「子育て」していると、
「重要でないことに取り組まなければならない状態」と感じやすく、
したがって、ストレスを感じやすくなります。
「女性は子育てに高く価値をおくべきだ!」
という他人や社会の価値観(社会的理想主義)を取り込んでしまっていると、
「子育て」よりも高く価値を置くものがあることを認められず、
自己矛盾で苦しみます。
「子育て」よりも高く価値を置くものがある方は、
「子育て」を誰かに委任するなどして、高く価値をおくことに取り組める環境を整えるか、
「子育て」を高い価値と結びつけることで、
「子育て」に対するストレスを軽減することができます。
ドクター・ディマティーニの著書「心を知る技術」(フォレスト出版)の86から89頁に
「子育て」よりも高く価値を置くものがある方の育児ストレスを解消する事例が紹介されていますので、
そちらをぜひご参照ください。
「子育て」に高い価値を感じているのにイライラするんですけど!?
では、「子育て」に高い価値を感じているけど、
「子育て」でイライラしてしまう方は、どうしてか。
この場合も社会的理想主義が原因の1つとして考えられます。
例えば、
「子育て」に価値を置いているのに、それをあまり自覚しておらず、
「キャリアアップしてバリバリ働かなければならない」と思い込んでいる場合、
育児休暇を取得している間や短縮勤務中に同僚がめきめき実力を伸ばし、
どんどん出世しているところを目の当たりにしてしまうと、
「ああ、わたしは何をやっているのだろう・・・」と
「子育て」でイライラを感じやすくなります。
以前、わたしはまさにこれにはまっていました。
わたしは「自分がキャリアウーマンになりたいと思っている」と思っていたので、
最初は大学院まで進学し、中小企業の開発職についていました。
しかし、3年でその会社を辞めてしまい、
今は研究開発とはあまり関係のない職種の小規模の個人事務所で働いています。
今の仕事は、家庭との両立もしやすく、やりがいのある仕事なのに、
「一度就職したら、定年まで働くべきだ」
「大学院まで出たんだから、研究職に就くべきだ」
と思っていたので、
研究職の仕事を続けている同級生の活躍をきく度に、
「ああ、わたしはキャリアから脱落してしまった駄目人間だ」
と落ち込んでいました。
そういう気持ちで子育てしていたので、
ささいなことでイライラしやすく、子供や旦那にあたってしまって自己嫌悪に陥る、
という悪循環に陥りました。
社会的理想主義にさよなら!
わたしの場合、
「子育て」に高い価値を置いていることを自覚することで、
研究職の仕事を続けている同級生の活躍をきいても、
「同級生は仕事を頑張っていて素晴らしいな。わたしも子育てと仕事を両立していて素晴らしいな」
と思えるようになりました。
さらに、社会的理想主義を捨てていったところ、
「子育てをすること、子育てを楽しむことが、自分にとって最高の幸せなんだ」
と思うようになり、子育てでイライラすることが気にならなくなってきました。
まずは、何に価値を置いているかを知った上で、
「子育て」に高い価値を置いている方が
社会的理想主義から自由になるには、
まずは、自分がどんな社会的理想主義を持っているかを、書き出すことだと思います。
自分の中に取り込んでしまった社会的理想主義は、
「~しなければならない(should must)」、
「~すべきだ(ought to)」、
「~することになっている(supposed to)」、
「~する必要がある(need)」
といった表現で語られます。
これらの表現で語られている価値観、観念を思いつくまま書き出してみましょう。
例:
【両親に対して抱いていた理想の親像】
- 子供のことを第一に考えるべき。
- 休みの日には遊びに子供を連れて行くべき。
- 子供の将来を真剣に考えるべき。
- 子供の才能を伸ばすべき。
- 夫婦は仲良くすべき。
- 親は子供の見本となるべき。
【仕事との両立】
- 女性も男性と同様に働くべき。
- 子供を産んでもバリバリ働くべき。
- 子供の前では仕事の愚痴は控えるべき。
- 子供の前では疲れた姿を見せないようにするべき。
- 仕事よりも子供を優先すべき。
【理想の母親像】
- 良妻賢母になるべき。
- 乳児の内は母親が子供に愛情をたっぷり注ぐべき。
- 子供が泣いたら、すぐに飛んで駆けつけるべき。
- 子供のしつけは、親がしっかりやるべき。
- 子供の話はよく聴くべき。
書き出すことで、あまりに多くの他人や社会の価値観を取り込んでいることに
びっくりするかもしれません。
書き出した社会的理想主義を見て、
これは自分には不要だな、と思うものはどんどん捨てていきましょう。
不要な社会的理想主義がなくなっていくと、
イライラすることも含め、
子育てをすること自体が、
自分にとって最高の幸せなんだと感じるようになってきます。
どうしても捨てられない社会的理想主義は、
メリット(デメリット)ばかりを見ている可能性があります。
その場合は、「育児ストレス解消の極意! 母乳育児編」
で紹介した、社会的理想主義の記事を参考にしていただき、
バランスをとってみてください。
自分の価値観に正直に生きよう!
日々の生活で自分の価値観を確認する作業を繰り返すうちに、
「わたしはこのために生きている!」
と腑に落ちてきます。
これとあわせて、イライラしたときに、
どうしてイライラしたのか?
本当はどうしたかったのか?
イライラする原因になった社会的理想主義は何か?
を考えると、
自分がどんな社会的理想主義を持っているかを発見でき、
いらなくなった社会的理想主義をどんどん捨てていくことによって、
より一層自分の価値観を生きれるようになりますよ。
価値観を明らかにしたら、
「育児ストレス解消の極意! 保育参観編 その1」
で紹介した、
「自分は世界で一番幸せ!と気づくためのワーク」
に取り組むのもおすすめです!
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。