育児をしていると、なぜ泣いているかわからない、夜なかなか寝てくれないなど、いろいろな場面で「ストレス」を感じると思います。
ストレスは、どういう時に生じると思いますか?
今回は、母乳育児にまつわる私自身の体験をご紹介し、育児ストレス解消の極意をご紹介します。
あなたが抱える育児ストレスの解消に役立てていただけたら幸いです!
目次
Drディマティーニが説くストレスとは?
人間行動学の世界的権威、ドクター・ディマティーニは、ストレスについて、次のように解説しています。
ストレスは、自分自身や他者に対する非現実的な期待をもつことから生じます。
人は誰でもその人固有の価値観に基づいて生きています。
あなたが、あなた自身や他の人にその人の価値観に反して生きてほしいと期待するとき、
あなたは「ネガティブなABCD」を体験することになるでしょう。すなわち、
- 怒り(Anger)や攻撃性(Aggression)
- 非難(Blame)や裏切り(Betrayal)
- 批判(Criticism)やチャレンジ(Challenge)
- 絶望(Despair)や落ち込み(Depression)
を体験することになるでしょう。
1つ1つ紐解いてみると、育児のストレスも確かに「非現実的な期待」「ネガティブなABCD」を持つことから生じていたことに気がつきます。
母乳VS人工乳
待望の子供が生まれて、まず直面するのが
母乳で育てるか、人工乳で育てるか、
それとも混合乳(母乳と人工乳を組み合わせる)で育てるか、という問題。
「そんなの、どれだっていいでしょ!」
とお思いになった方。ピンポーン、正解です!
母乳、人工乳、混合乳のそれぞれに、メリットとデメリットが同じだけあるはずなので、
どれだっていいのです。
しかしながら、厚生労働省による平成17年度乳幼児栄養調査結果によると、
母乳育児に関する妊娠中の考えについて、
「母乳がでれば母乳で育てたい」と答えた人が全体の52.9%、
「ぜひ母乳で育てたい」と答えた人が全体の43.1%だったそうです。
「母乳がいい!」と思っているお母さんがかなり多くいるようです。
長い人間の歴史の内、人工乳が登場したのはつい最近のこと。
「母乳がいい!」と思っている方が多いとのは、ごくごく自然なことですが、
妊娠中や出産後に、医療機関等で母乳育児に関して指導を受けることも、
「母乳がいい!」と思っている方が多くなっている原因のようです。
因みに、実際にどのように授乳しているかに関して、同調査によれば、
母乳、人工乳、混合乳の割合は、それぞれ、
生後0ヶ月では48.0%、3.5%、48.6%、
生後6ヶ月では34.7%、39.4%、25.9%だそうです。
母乳はいいことばかり?
医療機関等で母乳育児について指導される場合、母乳で育てることのいいところを強調して教えてくれます。
- 母子の絆が深まる。
- 赤ちゃんのあごの発達がよくなる。
- 乳がんになりにくくなる。
- 産後の回復が早くなる。
- ・・・
インターネットで検索すれば、母乳育児のメリットは100以上見つかります。
わたしが通っていた産婦人科医院は、母乳育児に熱心に取り組むところでした。
わたしは、産婦人科医院で母乳育児の指導を受けて、メリットばかりを受け取り、すっかり母乳信仰者になりました。
母乳信仰者がぶつかる育児ストレス
自分の中に取り込んでしまった他人や社会の価値観は、
「~しなければならない(should must)」、
「~すべきだ(ought to)」、
「~することになっている(supposed to)」、
「~する必要がある(need)」といった表現で語られます。
母乳信仰者になったわたしは、
「いついかなるときも子供は母乳で育てるべき!」という非現実的な期待をもつようになりました。
非現実的な期待を持つとどうなるか・・・。そう、ストレスに直面しました。
一番大きいなと思ったストレスは、娘が10ヶ月の時のことです。
わたしはインフルエンザにかかってしまいました。
治療のために薬を飲むことになり、医師から母乳を与えることを一時的にやめるよう指導されました。
そのとき、母乳を与えることを一時的にやめることに対して、ものすごく大きな罪悪感、ストレスを感じました。
投薬中に母乳を与えないことは、「いついかなるときも子供は母乳で育てるべき!」という非現実的な期待に反するものだったからです。
母乳育児にもメリットと同じだけデメリットがある
非現実的な期待を持ってしまうと、普通の人なら冷静な判断ができる側面で、わたしの例のようにストレスや罪悪感を感じることがいずれやってきます。
非現実的な期待を持つようになったのは、物事のメリットやデメリットのどちらか一方ばかりを見たり、自分や他人の価値観を無視しているからです。
どんなことにもメリットと同じだけデメリットがあること、
人は誰でもその人固有の価値観に基づいて生きていることがわかると、
非現実的な期待を手放すことができます。
人は誰でもその人固有の価値観があるので、ある物事をメリットと感じるか、それともデメリットと感じるかは、人によって違います。
「メリットとデメリットが同じだけある」ということは、自分の価値観に照らして総量が同じであるかどうかという観点から探してみてください。
前述のわたしの例では、
メリットとデメリットの観点からは、
「インフルエンザで母乳を与えることをやめたことで、娘との絆を深める機会を失った」ことを大きなデメリットと感じていましたが、
「保育園に入園する前に母乳を与えることを完全に辞めるでき、母子ともにスムーズに新しい生活に移行できた」とか、
「食事の機会を大切にするようになった」とか、
「母親が体調を損ねると子供にも影響が大きいということが身にしみて感じ、健康管理をしっかりするようになった」といった、「母乳を与えることをやめた」からこそ得られたメリットを、デメリットと同じだけ見いだすことができました。
また、価値観の観点からは、わたしは
「母乳育児を続けること」よりも、「インフルエンザを、娘を含む家族にうつさないようにし、早く回復して家族の負担を減らすこと」を優先した、後者の方が価値が高いと感じていたことに気付きました。
何を選択してもメリットとデメリットが同じだけあること、
価値観に従って行動することが腑に落ちると、
ストレスや罪悪感は消え、すべては万事それでよかったのだと思えます。
「自分以外の価値観・非現実的な期待」を手放して育児ストレス解消!
育児でのストレスは、今回紹介した例のように、
「こうあるべき」という観念を無意識のうちに取り込んでいることが原因であることがあります。
もし、あなたが育児でストレスを感じたときには、
「誰に対して、どんな非現実的な期待をしているか?」と自分に問いかけてみてください。
誰かの価値観を取り入れ、自分の価値観を無視していませんか?
メリットばかり、デメリットばかりを見ていませんか?
非現実的な期待を明らかにして、それを手放せると、ストレスもなくなっていますよ!
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
参考:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17.pdf