あなたは学生の頃、夏休みの宿題を計画的に終わらせていましたか?
早め早めにものごとを仕上げることができますか?
先延ばしとは、「するべき行動を遅らせることで事態が悪くなると予想される場合ですら、合理的理由無く意図して遅らせる態度、振る舞いのこと」です。(Wikipediaより)
今回は、やる気を出してこの先延ばしのクセから抜け出す方法について考えてみましょう。
パーキンソンの第一法則
聞いたことがある方も多いかもしれませんが、
イギリスの歴史学者、シリル・ノースコート・パーキンソンは、
「パーキンソンの法則」と呼ばれる次のような提唱をしています。
「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」
締め切りが今週末と定められていれば週末に仕上がる仕事でも、
締め切りが月末だったら結局月末近くなるまで仕上がらない。
ついつい楽な方に流れてしまったり、やろうとしているのに邪魔が入ったり。
ギリギリ切羽詰まるまで流されてしまうのは私自身大いにあることで、
「法則」といわれるように、人間の習性として普遍性があり、
「またやってしまった~」と
悩んでいる方もきっと多いのではないでしょうか。
先延ばしが起こりがちなケース
では、行動を遅らせることで事態が悪くなると予想される、
しかし、合理的な理由なくするべき行動を遅らせてしまう、それはどんな時にい多いでしょうか?
難しいこと、イヤなことは先延ばしする
先延ばしするのは、めんどくさいこと、困難なこと、楽しくないことなどですよね。
普段部屋の掃除なんてしないのに、
テスト期間前になったら急に片づけを始めた経験がありませんか?
片づけはめんどくさいけれど勉強と比べたらまだマシ、
きっとそんな心理が働いていたのでしょう。
逆に、簡単なこと、好きなことは先延ばししません。
部活の練習だって決して楽ではなかったと思いますが、
好きなことで、試合など目標があったら早朝から自主練だって起きられたりしますよね。
また、やり慣れていて、簡単にできることは心理的な抵抗感なくさっさと済ませることができます。
毎日必ずやることは「習慣」になって、
やるかやらないか考えたり迷ったりしなくても当たり前にできます。
好きなことや楽しいことは、
やるなと止められてもやってしまうでしょう。
まだ時間があると思うと先延ばしする
「まだ時間がある」「今やらなくても大丈夫」と思う時も先延ばしします。
パーキンソンの第一法則も、まさにこれですね。
余裕を持ってやろうとしたり、計画的に進めようとしないわけではない、
けれど、やっぱり、
どこかで「まだ大丈夫」と認識してしまうと、
その本当のデッドラインだと本人が認識しているところまで
先延ばししてしまいがちです。
ただし、これが合理的な判断であれば、
ものごとに優先順位をつけてやる順序を決めるのは悪いことではなく、
むしろ計画的で、目標達成に不可欠です。
やらなくても問題ない、うまくいかないことが目的になっていると先延ばしする
「もし間に合わなくてもなんとかなる」と思ったら、
デッドラインの認識がさらに先にずれ込むこともありますね。
単純に見通しが甘いこともありますし、
さすがにそろそろ本気でやらないと終わりそうもないとわかっていても、
それでも何とかそれをやることから逃れたいという気持ちの方が勝ると、
遅れてもなんとかなるのではないかと考え始めたり、
逃げ切る方法はないかと考え始めたり・・・。
ここまでくると、はたから見ていても気が気ではありません。
ご本人の気持ちは、
「さすがにまずい、けれどスイッチが入らない」と葛藤している場合、
これでよいと割り切っていいる場合、
深刻にとらえていない場合など、いろいろあると思います。
見通しが甘いのであれば、
現実に直面してこれではだめだったと学習するでしょう。
そうでない場合は、
相当強い心理的なブロックがあるか、
やらないことで自分を認めてもらいたいと思っているのかもしれません。
自分にとって大事なことは結局やっている
葛藤を取り除く、そもそも本当に「やらなければいけないこと」なのか?
心理的な葛藤が背景にあるなら、
先延ばしを何とかしようとするより、その元の原因に目を向けた方が良いでしょう。
また、実際に、
ずるずる先延ばしして結局やるのをやめてしまっても、
結局なんとかなった経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか?
本当に「やらなければいけないことか?」と見直してみると、
「先延ばし」なのか、「合理的な判断」なのかは、
意外と境界線があいまいで、
どの観点から見るかという基準次第になってきます。
メリットを感じることをやっている
文字通り「何もしない」ということは、
生きている限りできません。
何かを先延ばしして、その代わりに「何もしていない」のではなく、何かをやっています。
その人の価値観や独自の基準に照らし合わせた判断では、
Aを先延ばしするデメリットよりも、
そのとき他のBをするメリットの方が大きいとどこかで感じているから、
AではなくBを選んでいるのです。
「楽だから」という理由なら、
その人は、少なくともその時は、
「楽なことを選ぶ方が自分にとってメリットが大きい」という価値判断の基準が優性なのでしょう。
Bを選ぶことで事態が悪化すると思っていない、
Aを今しなくて大丈夫だとどこかで思っている、
51対49ぐらいの僅差かもしれないけれど、
Bを選ぶ方が何らかのプラスが大きいとどこかで認識している、
だからBを選んでいるのです。
他の人から見てどうかではなく、
自分にとって大事なことは、なんだかんだいって結局はやっているのです。
たとえそれが積極的な行動ではなく、
仕事をやめてしまったり、
ひきこもりでずっと家にいるなどの
一般的に消極的だと捉えられている行動(しない行動)だとしても、
きっと、その方にとって、
外に出て人とかかわるよりも1人でいることの方がメリットが大きいと感じる
何かの価値判断があるからそうなっているのでしょう。
結局自分にとって価値が高いことをやっているという意味では、
本質的には、
仕事に邁進したり趣味に没頭したり、
あるいは適度に人と交流したりしている人となんら変わりありません。
そして、一般的に消極的だと捉えられている行動(しない行動)も、
自分にとっても、周囲の方にとっても、
マイナスの面だけでなく、プラスの面も必ずあります。
また先延ばししてしまった、自分はダメだ・・・と自己卑下しても
明日からがんばろうという前向きなエネルギーにはなりにくいです。
そのように自己卑下してしまう方は、まず、
それでよかったんだ、
自分はいつも自分にとって大事なことをしてきたし、しているんだと考え方を切り替えた方が、
早く自分の中心に戻り、前向きな気持ちになることができます。
そして、実際、何かを「先延ばし」して良かった面もたくさん見つけることができるはずです。
人によってそれぞれですが、
夏休みの宿題を例にするなら、例えば、
宿題は後回しにして旅に出て普段体験できない体験が出来た。
それによって将来やりたいことがはっきりした ・・・
夏休みの宿題が終わりそうになく、親に手伝ってもらってすごくいい思い出ができた ・・・
逆に、親が手伝ってくれると思っていたら当てが外れ、自立心が育った。
親以外の人が助け船を出してくれて人間関係が広がった・・・
期限が迫ってから集中して普段以上のスピードで課題をこなすことが出来た。
結果的に効率が良かったし、やればできるとわかった ・・・
このようなプラスもあったはずで、
他の場面でも必ず「それでよかった」という面を見つけられます。
過去がどうであっても大丈夫なので、これからに目を向けましょう。
先延ばしグセから抜け出す7つの方法
「自分にとって大事なことはいつもしてきた」と確認できたら、
本当にやりたいこと・自分の本当の価値判断に照らし合わせて最優先でやるべきことを
先延ばしせず実際にやるために、
次のような方法が役に立ちます。
現実的な対処を探る
他の人に任せられることは自分で抱え込もうとせずに積極的に手放す。
押し付けるのではなく、やりたがっている人を探したり、時には有料サービスを利用したりする。
疲れている時はガッツリ休息をとるのも必要なことです。
現実的な対処で、同じ時間でもっと生産性を高められる方法を探しましょう。
時間がかかるのは当然と認識する
やろうとしていることが初めてのチャレンジだったり、
簡単にできないことであれば、
誰でも達成に時間がかかるのは当然です。
時間がかかるからめんどくさい、やりたくない…ではなく、
時間がかかって当然、
むしろそのことに時間をかけるのに意義があると思うと、
時間がかかることが言い訳にならず、
「あるていど時間はかかる、でもやろう」という気になります。
簡単にできないことにチャレンジしているのだから時間がかかって当然だと
まずはそれをすることの意義を認め、
いかに効率よくやるかはとりかかってから考えましょう。
環境を整える
集中して考え事をする時はスマホのメール着信音をオフにする、
作業を始める前に適度に腹ごしらえをしたり飲み物を用意したりするなど、
できるだけ環境を整えるようにしましょう。
基準を上げ続ける
今、10のことをできる力があって、8や9のことで満足していたら、
とりあえずラクかもしれませんが、成長がありませんよね。
ラクで変化の無い人生を心から望んでいるのならそれでもいいかもしれませんが、
せっかく生まれてきたなら、いくつになっても成長し、より充実した人生を築いていきたい、
本心では多くの方がそう思っているはずです。
それには目指す基準を上げ続けるのが効果的です。
タスクを仕上げる期限を早めに設定しようとしても本当のデッドラインはまだ先だと思ってしまう方や、
自分一人では基準が甘くなってしまう方は、
周囲の人に少し上の目標を宣言するなどして自分を追い込むのも良い方法ですね。
やり遂げた時に得られる成果を明確にする
その目標をやり遂げるとどんな素晴らしいことがあるのか、
その認識が明確であればある程、
目標はやりたいことになり、やる気が湧いてきます。
それを達成したら、何を得られますか?
次にどんなことができるようになりますか?
だれから感謝されますか?
リアルにイメージを膨らませ、
あなたが人生で大事にしていることとの結び付きを考えてみましょう。
やらされている感やイヤイヤ感がなくなりますよ。
大きすぎる目標はスモールステップにする
やろうとしてもできる気がしなかったり、
どこから手を付けていいのかわからないときは、
大きな塊で考えず、細分化します。
「これならできる」と思えれば取りかかりやすくなり、
ひとたび取りかかれば勢いがつきます。
「どうすれば出来るだろう?」と自分に問いかける
人はだれかと話していなくても、
自分の意識の中で常に自問自答しています。
脳は、問いかけへの答えを探すので、
「出来なかったらどうしよう」「最悪だ」「××のせいで・・・」などと考えればそれに応じた考えが浮かびますし、
「○○するにはどうしたらいいだろう?」「どうすれば○○出来るだろう?」と考えれば、
それに応じた解決策のインスピレーションが浮かびやすくなります。
「もっと効率的にやるにはどうしたらよいだろう?」と考えれば、
同じことをするのにも短時間でできる良い方法を思いつくことができますよ。
今日やる7つの優先事項を書く
今日優先的にやる7つの項目を書き出します。
Dr.ディマティーニは「7つ」という数が
多すぎず少なすぎずちょうどよいと言っています。
最初は、「○○を終わらせる」というような達成目標ではなく、
「○○を○分間やる」というような、
やれば必ずできて自信がつき、徐々に力が付くタスクにするのも良いでしょう。
まとめ:やる時はやれる、やればできる!
これまで、先延ばしをしてしまう自分に悩んでいた方も、
決して、「怠惰でルーズでだらしがないダメな人だ」というわけではありません。
何かを先延ばしにした時には、必ず代わりに何かをやっており、
そのことにもメリットがあるので自己卑下で余分なエネルギーを消耗するのはやめましょう。
そして、
「Aさんにとって大事なことは尊くて
Bさんにとって大事なことは低度が低い」ということもありません。
自分の人生で大事なことはあなたにしかわかりません。
そのことを認識した上で、
自分が人生でやりたいことをいかに早く実現出来るか、
現実的な対処から目標達成の工夫まで、
優先順位を考え、必ず書き出し、行動しましょう!
「2週間続けたら習慣になる」ともよくいわれていますよね。
大きな成果も、毎日の積み重ね次第。
準備ができている人のところにチャンスはやってくる。
まずは、やりたくなる気持ちを作るところから、がんばりましょう!